2010年8月28日土曜日

壬生義士伝

だいぶ昔の年末10時間ドラマで壬生義士伝を見てから新撰組にはまりだした。
中井貴一主演の映画もあるけれど、渡辺謙主演のドラマの方がはるかにできはいい。
あの物語を2時間にまとめようとするのがまず無理がある。
内容は、新撰組の隊士、吉村貫一郎が主人公。盛岡南部藩を脱藩し、盛岡に残してきた家族を養う為に京都で新撰組に入隊する。お金に貪欲なところから周りからは守銭奴と呼ばれバカにされたりもした。腕も非常にたつので、取り調べ役監査という役職に就く。
そこで戊辰戦争がおこり、隊士散り散りになり新撰組含む幕府軍はどんどん追い込まれた。
大阪でここを最後に討ち死にしようとみんなで決心するが、吉村は死にきれず、大阪の蔵屋敷通りに煌煌と光る南部藩の向かい鶴の家紋の入る蔵の前で命乞いをする。
その蔵の責任者である差配役、大野次郎衛門は幼少のころからの友人だったが、脱藩し、しかも新撰組である吉村は切腹を命じられる。
この物語のテーマはいくつかある。
一つは、「家族」そして「友情」
そして、もうひとつは「米」
吉村にとっての米とは、故郷盛岡であり、家族であった。
時代の流れとはいえ、正義だったものがいきなり悪者にとってかわってしまう。
大野次郎衛門もその流れに逆らえず、討幕軍が勝利すると、賊軍として斬首される身となった。
その時に初めて母親へ吐露する感情。大切な無二の友達に切腹をさせてしまった事への憤り。
それを聞いた母親の、
「ようやった、小さい頃は弱虫だったおめさんが、ようやった。母は褒めてやる。」
に泣けた。。。
それを見守っていた使用人の佐助がその事を振り返る。
「いつまでたっても母親には褒めてもらいたいものなんです」

浅田次郎は、ちょっと文章がくさくて首をひねってしまう所もあるけれども、言葉が非常にいい。
生きるってなんだろう、
家族を守るってなんだろう、
日本人にとっての米ってなんだろう。
なんとも言えない郷愁が読後に漂う作品です。

パンもいいけど、日本人なら米を食え!
体にもそれがいいの。
ずっと昔からお米を食べてきた民族なんだから。

2 件のコメント:

  1. 壬生義士伝は読むべしって声をいろんな所で聞くけど、なかなか読む機会がなかったので今読んでいる本が読み終わったら読んでみようと思います。The catcher in the ryeはさくさく読めてきました。後少しです。ホールデンって面倒くせえやつだなぁと思いながらも変に共感するところがあるので不思議です。

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  2. ははは。確かに。ホールデンめんどくさい(笑)でもあの気持ちすごいわかりますね。私はあそこまで表には出さないけど、表っつらというか、社交辞令というか、そういうのに嫌悪したり信用して傷ついてしまうのが怖かったり。ちょっと太宰治の小説と近いかなとも思いますね。
    壬生義士伝はいいですよー。内容全部書いてここがいい!ってやりたいけど、読んでない人もいるのでそれは抑えました。興味ない人に無理やり読ませたらその人もはまり、一緒に舞台である岩手盛岡に壬生義士伝ツアーを組んで、北上川を見てしみじみしました。

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