2010年4月13日火曜日

入院記録②

いよいよ、わたしの最大の難関である全身麻酔がある日。
手術でお腹切るとかそういう事どーでもいいから全身麻酔だけがやりたくない。
(術後、お腹切るってこんなに大変だったのね。。と知る事になるけれど)
あー嫌だー逃げたいー。
手術は3時間の予定。なんとか1時間半とかにならないかなあ。
どうも3時間の間何も考える事ができないって事がとてつもなく怖い。
じゃあ毎日寝てないの?って言われるとそうでもないのだが、寝るのは強制ではないし、ゆっくり意識がなくなるという点が違う。
何度も全身麻酔の自主練をした。
「今ならいける!今なら恐怖なくしていける!」
友達が作ってくれたアロマウォーターの匂いを何度もかぎ、なんとか落ち着きを保とうとする。
最初にするのは腰椎麻酔。自力で麻酔科まで行き、背中から針を刺していつでも麻酔を入れられるようにする。この針さしっぱなしのまま、また病室へ戻る。術後の痛み止めとして弱い麻酔を3日間ここから入れるのだそうで。
友達などは、この方が絶対に嫌だというけど、背骨に針刺すくらいなんでもねーよー。だって局所麻酔を先に背中に打つし。
そして、魔の時間がやってきた。いよいよ手術室へ移動だ。
はあ・・・自然に眠くなる事を期待していたが、目はパッチリだ。手術室の手前で、他の人の手術が終わるのを待っていた人が私に
「頑張って」
と声をかけてくれた。ストレッチャーの上に寝ているので、振り返るわけにもいかず何も返事をしないままだったが、涙が出そうだった。っつーか涙出た。
中に入ると、看護師さんが自己紹介してくれたけど、どうせ意識あるの今だけだし関係ないやなんて思ってしまった。
思ったより小さい手術室。そこにいたのはハードボイルドな麻酔科医。なんだ!?この手練れ感!
「意識無くなるのが嫌です」
とこの期におよんでまだそんな事を言う自分にあきれる。ハードボイルド医師は、
「何も辛くないから。臭気(臭気の方が楽だと知り合いから聞いた事があったのでそうしてほしいと告げた)の方が匂いも強いし辛いよ。点滴の方が楽だよ」
と言われて更に怖くなる。点滴だと気絶のような落ち方だと聞いたので、もうそれはそれは恐怖で。
医師は、ハードボイルドだが優しく、低い濃度の臭気をずっと少し距離をあけてあててくれていた。看護師さんが
「また麻酔入れる時にお声掛けしますから」
というと、医師は
「おい、お前、「お」はいらねーだろ「お」は。」
と低い声で注意した。お声がけの「お」は自分に対しての敬語になるからいらねーんだよという教育。何もここでしなくても。。。と思ったけど、ここがこの人達の仕事場だからな。
最初に入れた針の所から下半身の麻酔を入れる。その効き目を確認してから、まぶたが重くなる薬を入れた。ずっと緊張のせいでせわしなかった瞼が確かに動かなくなってきた。看護師さんが
「薬を入れます」と言った頃には、この瞼を重くする薬のおかげで少しうつらうつらしていたのかもしれない。嫌だー!!とは感じなかった。でもやっぱ優しいこの医師。
「ゆっくり入れてやれ」
ああ、神様のようだ。目を閉じると手術のライトによって内側がオレンジに見える。
それを綺麗だなーと思って、右と左とにその色が分かれていて、
「左に入ろう」
と思って左に入ったところから意識がない。
綺麗だなーと思ってるところで既に夢なのだろう。
そして、
「手術終わりましたよ」の声がはっきり聞こえて目をぱちっとあけた。
あまりにも早く開けたせいか、人工呼吸器の管がまだ喉の奥にあり、それが急いで抜かれた。
結局手術は時計を見ると4時間。1時間増えてるけど終わってしまえばそれもご愛敬ってこって。
友達は、自身の全身麻酔の経験で、起きた瞬間
「私・・・生きてる!!!」と思ったというが、私は
「終わったーーー!!!」だった。
少々気持ち悪さが残るものの、終わってしまえばこっちのもんだ。
5年もほっておいた病巣が全てこれでなくなったのかと思うと不思議な気分だった。

0 件のコメント:

コメントを投稿