2013年3月24日日曜日

悲しみ

ある男友達のAは、両親がそれぞれ離婚と結婚を繰り返し、
その結果、兄弟がいるらしいが誰なのかわからない、という家庭環境だった。
しばらくは母親と暮らしたけど、母親が再婚し、本人はNZに留学。
半年の留学を終えて帰国して、今度は父親と過ごした。
2年経って、その父親が先日亡くなった。
彼は
「自分の感情がわからない。涙は出るけど、悲しいってどういう感情なのかがわからない。
遺体を見ても、涙だけ出るけど、悲しくない自分はおかしいのかなあ」
と言った。
その言葉がとても悲しかった。
涙は潜在意識の影響を受ける。彼の中で悲しみを感じているのは確かなのだ。
それを感じられないのは、顕在意識で感じない事にしているのか、
許容量を超えた悲しみか、そのどちらかだと思う。
私はできる事なら彼を抱きしめたいと思った。そんな事が意味を成すのかさっぱりわからないけど、おそらく彼は今誰にも頼る事ができずにいる。
夜中に着信があったけど、その日眠くてしょうがなかった私はそれに気付かなかった。
何かあったのかと思って、次の日の朝にすぐにメール入れたら、
「大丈夫」と返ってきた。
「どっかに気晴らししたいならつきあうからね」とまた返すと
「じゃあ再来週に東京でそうして?」
と返ってきた。

私は、彼の心が平和になるように、願う事しか、今はできない。

友達って、無力だね。

2 件のコメント:

  1. 彼はyattyさんのような暖かい心の友だちに出会えて良かったと思います。
    悲しいとき、どうしようもなく心が乱れた時に話を聞いてくれる友だちは本当に有難いものだから。。。
    真夜中でも電話できたり、会いたい時に我慢せず会いたいと言える友だちは彼の心の大きな支えになっていると思います。taka

    返信削除
  2. コメントありがとうございます。こういう悲しみの前には、あらゆるものが無力に思えます。結局のところ、その悲しみを少しでも薄れさせる事なんかできないんですよね。せめて何かに頼る事ができればと思っているのですが。

    返信削除